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特定技能「建設」分野ガイド|要件・試験・受入実績を徹底解説

特定技能ガイド編集部公開: 2026-04-05更新: 2026-04-05読了時間: 約12分

建設業界の人手不足率は全産業平均を大きく上回り、2025年時点で約30万人の 労働力が不足しているとされています。特定技能「建設」分野は、この深刻な 人材不足に対応するために設けられた在留資格であり、他の分野にはない独自の 要件が複数存在します。本ガイドでは、建設分野における特定技能の制度概要から 具体的な受入手続きまでを、出入国在留管理庁および国土交通省の公開データに 基づいて詳しく解説します。

1. 建設分野の特定技能制度概要

特定技能「建設」分野は、出入国管理及び難民認定法に基づく在留資格であり、 国土交通省が所管しています。建設分野では特定技能1号と特定技能2号の 両方が認められており、1号は通算5年、2号は在留期間の上限がありません。

📊 建設分野の受入れ見込み数

2024年3月の閣議決定により、建設分野の特定技能受入れ見込み数は 2024〜2028年度の5年間で80,000人と設定されました。これは全14分野の 中でも上位に位置する規模です。

受入れ見込み数(2024〜2028年度)
80,000人

建設分野の特定技能で従事できる業務区分は、2022年の見直しにより大幅に 再編されました。従来の19区分から「土木」「建築」「ライフライン・設備」の 3区分に統合され、各区分内での業務の幅が広がっています。具体的には 型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、鉄筋施工、鳶、 建設機械施工、土工、内装仕上げ、電気通信、配管など多岐にわたります。

建設分野は他の特定技能分野と比較して、受入れ機関に対する要件が厳格です。 これは建設業の重層下請構造や労働災害リスクの高さに起因しており、 外国人材の適正な処遇と安全を確保するための措置が講じられています。

2. 受入要件と技能試験

建設分野で特定技能外国人を受け入れるためには、受入れ機関(企業)と 外国人本人の双方が一定の要件を満たす必要があります。

外国人本人の要件:

(1)建設分野特定技能1号評価試験に合格すること。試験は「土木」「建築」 「ライフライン・設備」の3区分で実施され、学科試験と実技試験で構成されます。 試験の合格率は概ね60〜70%程度で推移しています。

(2)日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト (JFT-Basic)に合格すること。

(3)技能実習2号を良好に修了した方は、同一の業務区分であれば上記の 試験が免除されます。

受入れ機関(企業)の要件:

(1)建設業法第3条に基づく建設業許可を取得していること。

(2)一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の正会員である建設業者団体の 会員であるか、JACの賛助会員であること。

(3)国土交通省による建設特定技能受入計画の認定を受けること。

(4)特定技能外国人の報酬額が、同等の技能を有する日本人と同等以上であること。 月額賃金は地域や業務内容により異なりますが、全国平均で約22万円〜28万円 程度とされています。

⚠️ 建設分野特有の注意点

建設分野では、受入れ人数の上限が設けられており、常勤の職員の総数を 超えることはできません。また、1号特定技能外国人受入事業実施法人(FIT) または登録支援機関を通じた支援体制の構築が必要です。詳細な要件については 行政書士に相談しましょう。

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3. 建設キャリアアップシステム(CCUS)

建設分野の特定技能における大きな特徴の一つが、建設キャリアアップシステム (CCUS)への登録義務です。CCUSは国土交通省が推進する、建設技能者の 資格・就業履歴を業界統一で蓄積・管理するシステムです。

特定技能外国人を受け入れる事業者は、以下の対応が必要です。

(1)事業者登録:受入れ機関がCCUSの事業者IDを取得すること。 登録料は資本金に応じて異なり、個人事業主の場合は0円、 資本金500万円未満の法人は6,000円です。

(2)技能者登録:特定技能外国人本人がCCUSの技能者IDを 取得すること。簡略型登録は2,500円、詳細型登録は4,900円です。

(3)就業履歴の蓄積:現場入退場時にICカードをタッチして 就業履歴を記録すること。

CCUSへの登録は、特定技能2号への移行時にも重要な役割を果たします。 2号評価試験の受験要件として、一定期間のCCUS就業履歴が求められる 場合があるためです。将来のキャリアパスを見据えた早期登録が推奨されます。

4. 受入実績データと今後の見通し

出入国在留管理庁の統計によると、建設分野の特定技能在留外国人数は 制度開始以降、着実に増加を続けています。

時期在留者数主な送出し国
2021年6月約3,500人ベトナム、中国、フィリピン
2022年6月約8,800人ベトナム、インドネシア、フィリピン
2023年6月約16,000人ベトナム、インドネシア、ミャンマー
2024年6月約24,000人ベトナム、インドネシア、ミャンマー
2025年6月約32,000人ベトナム、インドネシア、フィリピン

国籍別ではベトナム出身者が最も多く全体の約45%を占め、次いでインドネシア、 フィリピン、ミャンマーの順となっています。建設分野は技能実習からの 移行者が多いことも特徴であり、移行者は全体の約70%を占めています。

ℹ️ 2024年問題と建設分野の人材需要

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、 1人あたりの労働時間が制限されています。これにより追加の人材確保が 急務となっており、特定技能外国人の需要はさらに高まると見込まれています。 国土交通省は2028年度までに80,000人の受入れを目指しています。

5. 受入れまでの具体的な手続き

建設分野で特定技能外国人を受け入れるまでの一般的な流れは以下の通りです。 他の分野と比較して、国土交通省の計画認定が追加で必要となる点に 注意が必要です。

ステップ1:JACの会員(正会員団体の構成員または賛助会員) となる手続きを行う。

ステップ2:外国人本人が建設分野特定技能1号評価試験と 日本語試験に合格する(または技能実習2号を良好に修了する)。

ステップ3:雇用契約を締結し、1号特定技能外国人支援計画を 策定する。

ステップ4:国土交通省に建設特定技能受入計画の認定申請を行う。 審査期間は概ね1〜2か月程度です。

ステップ5:出入国在留管理庁に在留資格認定証明書交付申請 (海外からの場合)または在留資格変更許可申請(国内からの場合)を行う。

ステップ6:CCUSへの事業者登録・技能者登録を完了する。

手続きは複数の行政機関にまたがるため、初めて受け入れる企業は 行政書士に相談しましょう。申請書類の不備による差し戻しを防ぎ、 スムーズな受入れを実現できます。また、特定技能1号の制度全体像外国人採用の基本フローも併せてご確認ください。登録支援機関の選び方についても理解しておくことで、より円滑な受入れが可能になります。

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